1.海苔の歴史

○歴史への登場

「海苔」という言葉が初めて書物(常陸風土記)に記載されました。その内容は「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が霞ケ浦の静かな浜辺に多くの海苔が干してあるのを見かけた」とのことです。常陸風土記には既に「海苔」という言葉を使っていたことから、一般的な言葉になっていたのではないでしょうか。

○現在の海苔の始まりは江戸時代

現在の海苔業界の基盤が築かれた時代が江戸時代です。徳川家康の海苔好きが高じたからといえます。家康に新鮮な海苔を献上する為、東京湾で海苔の養殖が始まりました。養殖が始まったことにより、これまでより約10倍の海苔が市場に出回り、海苔は江戸の特産品として庶民にも親しまれるようになりました。現在の「板海苔」が登場するのは江戸時代中期で、誰が考案したか定かではありませんが、浅草和紙の製法を利用し現在の原型ができたものと思われます。「板海苔」の登場により、“ものを巻く”という機能が生まれ、様々な具材を芯にしてご飯を巻く「海苔巻き」が庶民の間で大流行しました。屋台すしと呼ばれる店も登場し、現在のファストフード的感覚で江戸っ子たちは海苔巻きを食べていたようです。

2.海苔の品種

海苔はアマノリ類に属し、1960年代後半までアサクサノリ(Porphyra tenera)が全国各地で養殖されていましたが、現在は病気に強く、また繁殖力が強く育てやすいスサビノリ(Porphyra yezoensis) が主流となっています。

3.海苔の養殖方法の種類

■支柱式養殖

 水深の浅い海に支柱を建てて網を張る方法です。干満の差により海苔が海面に上がり ,日光を浴びて光合成が活発になり、アミノ酸を増やしてゆきます。

 有明海が代表的漁場です

■浮き流し式養殖

 海の深いところに浮と錨とロープで筏をつくり、その中に網を張る方法です。紫外線に 当たら ない為、黒く色の良いのが特徴です。

 瀬戸内海が代表的な漁場です